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8月19日(月)読売新聞夕刊で、日野明子さんが紹介する記事"いま風"の中で「わく」をご紹介頂きました。

日野明子さんは全国の地場産業、クラフト、作家を尋ねて歩いている一人問屋のクラフトバイヤー。
能登島にも「わく」を見にいらして頂きました。その際、他の産地の状況、素材や技術に関すること等とても興味深いお話を伺うことができました。blog(utsuwacafe.exblog.jp)を拝見したところ、大学時代秋岡芳夫氏に影響を受けたとあり合点がいきました。




うつわの手帖〈2〉ごはん
日野明子



2013年8月20日

50年のキャリア

うちの現場は大体3人の大工さんが同時進行で作業している。
大体というのはたまに棟梁に別の仕事が舞い込むと、棟梁の采配で急ぎの現場に大工さんを廻されたり、逆にこちらの現場で手が必要な時は他の大工さんが助っ人に入るという仕組み、棟梁を中心とした大工さん達の仕事のネットワークの仕組みもとてもよくできている。ただやり取りするうちに気楽な施主だと思われたのか、最近は現場の大工さんが少ない日が多い。

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二階担当の丸山さん、3人の中では若手(?)らしいがとても落ち着いた仕事ぶりで天井の板をとても奇麗に納めて頂いた。

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一階はベテランのお二方。
新藤さん(上)と高田さん(下)は一つ違いの長〜い付き合い。
既にこの道50年のキャリア、僕が手間を考えずに描いた細かいディテールでもできないとは決して言わず、なんでも作ってくれる。50年のキャリアなんて言わなきゃよかったとぼやきがたまに聞こえてくるは聞こえないふり。

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この大工さん達からは今回の現場で教わることが本当に多い。
何しろこちらのキャリアは数年、大工さんにしてみればほぼ初心者が描いた図面をもとに作っているので実際に作る段階になればその都度打ち合わせ、修正ということになる。

大工が一番気にしているのが木と木、部材と部材の納まり、その見え方、持たせ方だという事も今回気づいた。それも図面上での納まり方ではなく、実際の木をどうやって納めるのかという事、ビスをどこからどこにうち接合部は突き付けなのか、チリを付けるのか、目透かしをつくるのか。それらの納まりというものに細心の注意を払う。図面上では接合部に線と線がぶつかればそこももちろん一本の線にしかならないはずなのだが、実際の木ではそうはならない、そこでは必ずどちらかの木が勝って段差ができる、木も乾燥すれば透く、じゃあその上でどう見せるのかというところが大工の目なのだ。
それにようやく気づいてきたこのすでに終盤、大工さん達の現場でのアドバイスのお陰で何とか大きな失敗はないものの、心残る箇所は後からよけいに出てきている。

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午前と午後に一度づつある、一服の時間。
「おい、いっぷくやぞ!」と声がかかる。



2013年8月 1日

鳥居醤油店

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最近訪れる機会の多い、地元七尾は一本杉通り商店街の中にある老舗のお醤油屋さん。
鳥居醤油店の醤油づくりを見学させて頂きました。

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広い土間を昔ながらのつくりのまま残している雰囲気のある店内。

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店の奥にいくと土壁に覆われた蔵があり、そこがもろみ蔵。
大きな杉桶がならび、桶の中では二年間ももろみを発酵熟成させています。

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鳥居醤油店の醤油の原料は全て県内で生産されている大豆、小麦、塩だけで作られています。
厳選されたシンプルな素材を使い、昔ながらの方法で手間暇かけて作られた醤油は他には代え難い深い味わいを持っています。
北陸の醤油は得てして甘口が多いのですが、鳥居さんの醤油は辛めの濃口醤油、関東出身の私の舌にはとても相性がいいのです。

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こちらも初めてみる道具、槽(ふね)と呼ばれるもろみをしぼる圧搾機だそうです。
100枚の麻袋を重ね合わせたあと、ゆっくり時間をかけながら生醤油を絞ります。

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槽からとりだした生醤油は、中に残っている微生物や酵素の活動を止めるため、釜で火入れを行ないます。 その後、貯蔵用の桶に火入れした醤油を移し、静かに"おり"を沈めてとった後、ようやく澄んだ醤油ができあがるのです。

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こちらは昔使用していた小分け用の桶だとか、店内をいろいろと見せて頂いている間にも近所の方が空いた一升瓶を持ってきて、量り売りで醤油を買っていかれました。
こんな光景が何気なく残っている七尾の一本杉商店街、何気にとってもすごいことだと思います。


鳥居醤油店HP
2013年7月23日

SUMMER SALE 2013

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恒例、垣内衣料品店のサマーセールのお知らせです!
港町七尾に似合うおしゃれな洋服がいっぱいです。
是非この機会に立ち寄ってみてください。

ちなみに今回のはがきの写真、モデルはこの春に福島から移住してきたイラストレーターのゆきちゃんです。
ゆきちゃんの奇麗なイラストも近々ご紹介したいと思います。



建築の構法で棟換気という考え方があります。
真夏、屋根への強い日差しによって建物が受ける熱量は半端なものではありません。
屋根断熱がされていない家の二階が蒸し風呂状態になるのは、今まで住んだ家で実際に体感済み・・
その熱をなるべく室内にいれず、屋根の棟に換気口を設けて、熱くなった空気の上昇を利用して、
屋根の上にその空気を抜いてしまおうというのが棟換気の考え方です。

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屋根の根元に注目して頂くと、太い垂木が乗っかっている桁と屋根の間に隙間が空いているのが見えると思います。
ここが外の涼しい新鮮な空気の入り口。

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内側から見てみると、特注サイズで断裁したステンレスメッシュの板が挟まっています。これはこの隙間から鳥や虫などが入って悪さをしないための予防です。
換気スペースは一尺ある太い垂木の上側1/3。

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そして、垂木下側の余った空間には遮熱シートを張り、その下に断熱材を敷き込みます。
(写真はシートを固定したところ)
つまり日射を受ける屋根と、遮熱断熱機能を持たせた屋根との二重屋根の構造。
その隙間に熱を逃がすための換気スペースを作ってあげようというものです。

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断熱材を敷き、その下に杉の羽目板を差し込んで固定していきます。
大工さんは2階担当の丸山さん。
とても丁寧な仕事で奇麗に板を納めて頂いています。

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厚さ180mmの断熱材を隙間なく屋根に敷き詰めます。
これによって夏は日射による熱を防ぎ、冬は建物内の温かい空気の熱を外に逃がしません。

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不安定な足場の上で上を向いての作業はかなり大変な仕事です。
それでも着々と内側の屋根板が張られ、奇麗に仕上げられた杉の板が並べられていきます。

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棟との納まりもピッタリ。
本実加工された羽目板を両端溝が掘られた垂木にどう納めているのか、
とても文章では説明し難いです・・
丸山さんの経験のなせる技です。

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全ての板を張り終えたところ。
中からの屋根面の眺めは余計な小屋組もなくスッキリ
垂木の太さも感じさせず真ん中の通し柱のみで屋根全体が持ち上げられていてとても軽やかな印象です。
屋根内側の仕上げはこのまま表しとなるため、余計な構造材は見せないように木組みを考えるのに苦心しました。

この屋根を二重にして熱を逃がすというダブルルーフの構造、
実はこの能登では昔からある屋根の形なのです。
主に倉の屋根によく用いられていたようで、曲の集落に残るいくつかの倉の屋根でも見ることができます。

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ちょっと季節が違いますが、その一例です。
土蔵の屋根が持ち上がり、瓦屋根と土の屋根の間に隙間が作られています。
食物を保存するための土蔵の中の温度を一定に保つためにこのような形の屋根が考えられたのでしょう。
しかし、この屋根が住宅の方に使われているのはまだ見たことがありません。
住宅には機能性よりも見た目の方が重視されていたのか、その理由は定かではありませんが、
能登の納屋のような家を目指す僕らとしては、もってこいのこの屋根構造。
ダブルルーフが想像以上に機能してくれることを期待しつつ・・



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