2010年5月 7日

信楽、文五郎倉庫

連休ど真ん中の日曜日、京都は宇治に日帰りで、車で向かいました。
名神高速から京滋バイパスに入る予定が、ナビもなくカンで走っていたので、誤って手前の新名神道路に入り込み再び名古屋方面へ・・最初のインターが信楽でした。
陶器で有名な信楽には以前から興味があったのでこの際なので少し寄り道を、と思い町中に行ってみました。

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その日は駅前の広場で丁度陶器市が開かれすごい賑わい。
それにしても至る所に狸の置き物がズラリ。

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なんでも陶器でつくってしまう信楽のパワーに圧倒されました。

土産物屋ばかりでは面白くないので、細い路地を探って歩いていると陶器の倉庫らしき佇まい。
その一角で謎の女の子を見つけました。

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土のかたまりに煙突がささり、激しく火を噴いています。
よく見ると横にささっている筒の先にはドライヤーがフル稼働、その横でひっきりなしに木片と炭をくべる女の子がいました。
どうやら自作の陶芸窯で窯焼きの真っ最中とのこと、ドライヤーの送風で1300°まで窯の温度をもっていくのも大変でしょう・・

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以前別の自作窯で焼いた、不思議な色の物体を見せて頂きました。

そしてその作業場の奥にはこれまた不思議な建物発見。

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どうやらショップ兼ギャラリーのようです。
狸みたいなキッチュなものばかりかと思いきや、かっこいい所があるものです。
文五郎倉庫というところらしい。

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しばらく眺めているとオーナーの奥田さんという方が来て、中を案内して頂きました。
もともと窯元にあった、築50年の倉庫を改装したらしく、むき出しのコンクリートの表情が面白く、所々を補修した左官壁がいい味をだしていました。
さらに奥田さんに信楽で見るべき所はと聞くと。
shiroio-ieを紹介して頂きました。

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ここも古民家を改装したショップ兼ギャラリー。
中は名前の通り真っ白。
イメージは"マルタン・マルジェラ"。らしい・・

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そんなこんなで思いがけず時間が経ってしまったのですが、
信楽面白いです・・
まだまだ発見がありそうなのでまた今度はゆっくり来たい。
次回は宇治に向かいます。

2010年5月 6日

私の個人主義


私の個人主義 (講談社学術文庫 271) (文庫)


大正3年11月25日、夏目漱石が学習院大学で行った講演会で話した内容と他4つの講演を収録。初めて読んだ漱石の講演集です。
晩年の漱石の根本思想といえる、近代個人主義の考え方も非常に興味深いけれど、
以前茂木健一郎氏が「坊ちゃん」を評して漱石の自己批評性のすごさを解説していたが、それが漱石自身の語り口で読むことができたと思える一冊でした。
大学を出て教師となり、中学、高校、大学と教え英国へ留学する過程の心境を語る言葉に漱石の人間性が伺える。


はじめに。
能登日用百貨店とは借り物です。
もともとオリジナルはぼくの尊敬する四万十在住デザイナーの迫田司さんが、高知新聞にエッセイ「四万十日用百貨店」を連載されていました。


四万十日用百貨店 (単行本)


昨年夏、そこで紹介されていたモノを集めて開かれた、三田のレーベルギャラリーで行われた個展「四万十日用百貨店(展)」を見に行き、不遜ながら、これは能登にもいくらでもあるんじゃないかと思っていたのです。

〜以下引用〜
日々のモノには日々の記憶が刻まれている。溶け込みすぎて見えなくなったモノにこそ、その土地の暮らしの本質が潜んでいる。
(四万十日用百貨店 (単行本)プロローグ)
〜引用以上〜

昔はその土地の生活に必要な日用品を扱っているお店がその地域ごとにあり、季節の行事に特化したもの等も売られていて、その地域の生活に使われる個性豊かな道具も見ることができました。残念ながらそんなお店はだんだん見られなくなってきています。
僕自身も大半の日用道具は大手のホームセンターで購入している事実、ですが有り合わせで使っている道具にどこか物足りなさを感じている部分が常にありました。
そんな不満が決定的に顕在化したのが最近、この道具「たいぶり」を使った時でした。

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「たいぶり」とは能登島えの目町のおばあちゃんの言、他にも「たいべら」「たーべら」、もともとは"田のへら"の意味だろうということでした。
この「たいぶり」、今の田植えシーズンには必需品です。
この辺りではだいたいGW前、田植えの前に田起こしをして代掻きをします。
その際に田んぼの中にできた高低差をなくし、田んぼを平らにする作業を今では部分的にこの「たいぶり」でするのです。
(大半は機械でならしてしまいまい、機械の入らないところを手作業でならします。)

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こちらはその現代版、まさに工業化時代の産物。
オールアルミ。押し出し部材をボルトで組み合わせただけのシンプルイズベスト。
バウハウス張りのデザインです。
名前はアルミ代掻きと書いてあります。

ちなみにどちらもぼくの大家さんの持ち物。
先日の代掻きのお手伝いの時、ぼくは最初に木の「たいぶり」を手に取ってみました。
しかしまずその重さが気になり、すぐにアルミ代掻きに持ち替えたのです。
こちらは思った通りの軽さ。そしてそのままその日はアルミ代掻きを使い続けました。

日は変わり、一昨日の田植えのお手伝いの時。
田植機がUターンする箇所がえぐれてしまうのでまたまた「たいぶり」の出番でした。
その時に一緒に手伝っていた地元のSさんが迷わず木の「たいぶり」を手に取って作業を始めたのです。思わず聞きました、なんでそっちを使うのかと。
答えはいたって簡単、こっちのほうが断然使いやすいよ。ということでした。

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そしてすぐに、自分で試してみたところ、目から鱗が落ちました。
重さを感じていた木の「たいぶり」が、田んぼの中ではなんと滑らかに動くことか!
この使いやすさに比べるとアルミ代掻きはもはや道具とは呼べない使いづらさ。
押しても引いてもアルミの小口が泥に深く切り込み過ぎて動かせなくなってしまうのです。
よくよく見てみると「たいぶり」はすべての部分が真っすぐにはできていません。
持ち手の柄も大きく湾曲していて左利きの人はまず使えないでしょう。
田を押すへらの部分の土にあたる角度も絶妙、木の重さとしなりが土の反発で浮いてくるのを防ぎ滑らかに土を押すことができます。

この「たいぶり」は大家さんのおばあちゃんが嫁にきた時にはあったということなので50年前からはずっと使われてきたということになります。
そんなに前から使われてきたこの道具が、使いづらいアルミの道具に取って替わられているという(まさに自分が取って替えようとしていた)この現実に唖然としました。
そう思えばどれだけの道具が、生産性とコストに優れているばかりの道具に替えられてきたのだろうかと、想像するだけで空恐ろしい・・
だけれど僕自身はこの「たいぶり」の感触を知ってしまった後、アルミ代掻きで我慢することはできないと思いました。
とは言え、「たいぶり」が活躍できるのは一年のうちこの時期だけ、田んぼの機械が入れないスミの部分だけなのですがね・・
こういう道具達がなくなっていかないことを切望します。



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