2013年10月24日

船のでんきや日東電気

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輪島にある船のでんきやさん、日東電気に行ってきました。
船舶専門の照明器具を一般でも使用できる形で販売しているちょっと変わった電気屋さんです。
フランジタイプのセードがついたこの照明は玄関ポーチに検討しています。

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自然環境が過酷な船上で使われる照明なので各パーツはかなりしっかりと作られていてセード等のオプションもいろいろあります。

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お店の横にある半地下の空間を覗くと。
面白いものが生まれてきそうな、心くすぐられる場所でした。

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こちらは、いか釣り漁船に使われるイカツリランプ。
室内に吊られているのもなかなかおしゃれです。

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日東電気の沖崎さん。
手に持っているのは、海に沈める集魚灯だそうです。
その名も"サブマリン"。
特殊電球をガードする金属(約5キロ)がそのままおもりの役割を果たし海に沈んでいきます。
この重さを一般家庭では使用するのはちょっと・・

船のでんきや日東電機
http://www.210dk.jp



2013年9月25日

鳳至木材

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現在設計中のお施主さんと一緒に輪島の鳳至木材に行ってきました。
ここに来る度に地面に積み上げられた丸太の迫力に圧倒されます。

現在の建築はできあがってしまえば柱はほとんど壁の中に隠れてしまうということも多いです。
私たちが設計する建築ではなるべく自然から伐採して来た柱の存在を感じることができる空間を作りたいと思っています。
そして製材前の丸太の姿もお施主さんに見て頂くことで、建物が地元の環境の一部からできているという意識を共有できたらと考えています。

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今回のお目当ては能登ならではの材能登ヒバ、通称「アテ」。
木で虫が食い易いのは白太の部分なのですが、アテは白太が薄くほとんどが赤身、
そのため虫にも食われづらく、水にも強い、とりわけ湿気の多いこの地方にはうってつけの材なのです。
しかし良いところばかりではありません、アテは螺旋状に成長するため木目が上に行くにしたがって捩じれています。
この捻れがくせ者で、製材した木を乾燥させると捩じれてしまうのです。
そのため木を扱う職人さんからはアテは暴れると言って敬遠されているところもあるのです。

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木は急激に乾燥させると変形してしまいます。 変形を最小限に抑えるために、鳳至木材では丸太のまま自然乾燥で寝かせた材を、オーバーサイズに製材してさらに寝かせ徐々に乾燥させていきます。
ゆっくりと自然乾燥させることで木の繊維を壊さずに含水率を下げることができるのです。

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敷地内に見つけた小屋の外壁。
製材所ならではの材の使い方、製材でカットした耳の部分を利用して作られています。
この外壁はいつか使いたいです。



2013年7月 9日

島の石

少し前のお話。
家を建設中の土地は、石が多くて地盤が堅いところだと言われていて、
案の定ユンボでの整地の最中にも大きな石がごろごろでてきていました。

その石を何とか利用できないかということで相談したのが島の石屋さん「青山石材店」。
島でも固いと言われている閨(ねや)の石、その閨という在所に工場を構えています。

島の石は固くて、水はけもよく、柱を据える束石にしてもコンクリートよりもよいというお話だったので、通し柱を据える束石を作って頂くことにしました。石が水を吸うという話も聞いたのは初めてで驚きでした。
青山さんの話し振りでは、青山さんにとって石は感覚的には木のような自然素材という感じで話しているのが印象的でした。

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青山石材の息子さんにでてきたばかりの石をユニックで取りにきて頂きました。
この石の大きさで数百キロはあり、とても人の手では運べません。
一本のロープを引っ掛けて石を起こし、もう一本のロープを掛けて持ち上げる、そのロープさばきも見事です。

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石をユニックに積んで閨の工場に移動、曲の現場から10分ほどです。
工場には様々な石が加工されて置いてあります。

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目に留まった道具は「たいぶり」。
田植え前の田んぼをならす道具。
大きくて使いやすそうな形です。大工さんに作ってもらったのだとか。
ちなみに青山さん親子は島では少ない自然農法での米づくりを試してみているのだそうです。

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そうこうしているうちに石が石切台の上にセットされていきます。
特大の円盤状のカッターが吊られているだけの妙にがらんとした空間。
飛び散った石の粉の跡が壁から天井まで白く残っています。

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石切台の上に置かれた我が家の石。
石も妙に生き物であるかのような気にさせられます。

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切るラインを慎重に見極め、下の隙間にスペーサーをハンマーで差し込み、石が動かないように固定してく青山さん。
外見から、石の中身を想像してなるべく使える部分を歩留まりよく取り出すにはどこで切ったらよいかを考えるのだとか、この辺りはまるで木の丸太を製材する人が木目を読むように、石の目を読むのだそうです。外見に現れている石の線が中まで続く割れなのか、外見上だけの傷なのか、また石の芯にあたる部分があるということも木に似ています。芯は固く、その周りにあたるところは割れやすいのだそうです。

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周りを見ればいろいろな種類のグラインダーの刃が目につきます。

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ゴーンという大きな電流が走る音とともに、水しぶきをあげながらすごいスピードで回転するカッターがゆっくりと石の上を左右に動き始めます。
左右に動きながら徐々に下へとカッターが移動していきますが、そのスピードは本当にゆっくりで石の一面をカットするだけでもかなりの時間がかかります。

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それでも確実にカッターは石の中へと滑り込んでいきます。

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切り終えた石の断面を覗き込む青山さん。

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どうやら大きなヒビが石の中を走っていたようです。
残念ながら束石にするにはいまいちの状態だそうです。

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もうひとつ大きな石を切る算段をする青山さん

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六面を切り落とすと奇麗でおとなしい石の塊になっていました。

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特殊な工具で柱の位置を決めるダホ穴を掘ります。

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様々な種類の砥石やカッター。

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こうして出来上がった、島の束石達。
泥にまみれて荒々しかった岩は既になく、あまりにもつるっとして奇麗な石の表情です。

100年かけて育った木は構造材にしてからも100年は保つと聞きますが、
石が育つ年月はどれくらいのものになるなのでしょう・・。
今回青山さんに作って頂いた15個の束石には通し柱の下でしっかりと家を支えてもらおうと思います。

普段生きているものを解体する現場を目にすることはあまりありませんが、
石とはいえ自然から採ってきた生の素材を扱う場所は独特の雰囲気がありました。

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こちらは島の石で作った石臼だそうです。
どうしたらこんな風に丸く石を切れるのでしょう、
次回は石臼の作り方を是非見せて頂きたいです。




2013年6月10日

渋塗り

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建物の土台には、湿気にも強く防蟻性にも優れた能登ヒバ材を使用します。
建前の前にその土台に柿渋を塗りました。

柿渋とは渋柿の汁を圧搾したものを発酵、熟成させた液体で防水、防腐効果が期待できます。
土台は地面に近く雨がかりやシロアリも気になるところなのでその予防として行ないます。

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柿渋の中でも匂いが少ないマイルドタイプというのを使用してみましたが、それでもなかなかの臭さ。
車の中と手の匂いは数日間とれませんでした。

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柿渋の量が多いとムラになってしまうので布で拭き取りながらの作業です。
拭き取ったばかりでは色もそんなにつかず、これで効果があるのかとも思いますが、
暫く日の下で紫外線にあたっているとだんだんと色がついてきます。

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拭き取りしてうっすらと茶色がかった土台。

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こちらは一階の床を支える束達。

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炎天下の中、なかなか気の長い作業です。
しかしこれから少なくとも数十年はお世話になるつもりの縁の下の部材達です。
今のうちにしっかりと手をかけて頑張ってもらおうと思います。



2013年4月18日

槐(エンジュ)の木

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高山のお父さんから頂いた特別な木がありました。
エンジュというなかなか立派な木だったので使う場所を考えあぐねていたのですが、
ようやくいいところを思いついたので七尾の関軒製材所で製材をして頂くことにしました。

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太い木に帯のこの刃を入れる瞬間。
寸法はこれで合っているか、やり直しのきかない作業なのでとても緊張します。

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一皮むくとまた違った木目がでてきます。
どこを残して製材するかで中から節がでてきたり、木目もどんどん変化していくので製材には山師の勘が必要なのだそうです。

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赤身の目が詰まった、とても奇麗な木目がでてきました。
この木をどこに使うかは、、お楽しみです。


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