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2010年12月23日

エフスタイル

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この年の瀬に来て今年最も嬉しかったこと。
新潟市内にある、デザイン事務所兼ショップのエフスタイルに行けたこと。
と言っても僕はかなり忘れっぽい性質なのでここ一ヶ月くらいのことしか記憶にない。最近では今年の猛暑を全く覚えていないことには妻に呆れられた・・(あ、一番は子どもが生まれたことですね。)
兎も角、エフスタイルでは静かな衝撃を受けました。

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エフスタイルとは新潟出身の女性2人、五十嵐恵美さんと星野若菜さんが地元の産業を中心にデザインの提案から実際の販売までをも一貫して行うデザイン事務所だそうです。そのアンテナショップ兼ギャラリーが新潟の市内にありました。

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今まで製品化した商品のすべてが置かれているというショップを実際に見、お二人が最近出版された本「エフスタイルの仕事」という本に書かれていることを読んで非常に感銘を受けました。

以下「エフスタイルの仕事」序文を引用します。

はじめに

私達は土地に根付いた産業の中で、生活に関わるあらゆるものをデザインしています。
表立った技術や素材だけでなく、継承している作り手自身の向き合い方に魅力を感じ、
生産的なモノ作りの現場から、生活者へ商品を届けるまでの行程をすべて2人で行っています。

モノが生まれる現場に触れると、土地の空気や作業場の風景、日々に交わす会話の中から見えてくるものがあり、そのものの原点を深く知ることにつながっていくように思います。
私たちはその一連の流れに携わることで、伝達者としてのリアリティーを持ち続けたいと思っています。

根底に確かな関係性を築いていくことは、関わる人達の想いが自然と込められ、
モノの流れだけではない、人の流れを生み出します。
身近な産業が消えつつある今こそ、人を近くに感じるモノ作りの必要性を、
新潟で活動している現場で感じています。

エフスタイル 五十嵐恵美 星野若菜

引用以上

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モノ作りの現場から生活者へ商品を届けるまでの行程をすべて2人で行うこと、
一言で言うととても簡単ですが、実際にすることは恐ろしく大変なことだと思います・・

また二人が、従来のデザイナーとしての、ある地点に到達することに重きを置くのではなく、人やモノとの流動的な関係性の中にリアリティを感じ、どの"あいだ"であろうとするかということについては問わない潔さと謙虚さには驚きすら感じます。

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お話しした際に彼女達は決して特別なことをしている訳ではなく、どんなローカルででも同じような流れが起ってくれたら嬉しいというようなニュアンスの話もしていました。

それは実際にその通りなのだと思います。
よいモノのデザイン以上に作り手から生活者へと繋がる糸を丁寧に紡いでいくこと。
そんな小さいけれども確実な流れそのものをつくることが、今地方のモノ作りには求められているのだと思います。

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僕も彼女達のような仕事のスタンスを持ちたいと思いました。

エフスタイルHP


p.s.そう言えばこの間会った梅原真さんにも衝撃を受けたばかりだった・・



エフスタイルの仕事 [単行本]
五十嵐 恵美 (著)




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